手術中に麻薬持ち出し自ら注射、変死の麻酔医書類送検へ(2008年10月2日 読売新聞)
さいたま市見沼区の「東大宮総合病院」(坂本嗣郎院長、317床)で5月に変死した男性麻酔科医(当時42歳)が、死亡直前に医療用麻薬を持ち出して自らに注射していた疑いが強まり、埼玉県警は近く、この医師を被疑者死亡のまま麻薬及び向精神薬取締法違反(治療目的外施用)の疑いで書類送検する。
医師の両腕には多数の注射跡があり、県警は常習的に麻薬を使っていた可能性もあるとみて調べている。
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病院によると、医師は5月12日午前、同病院で手術中に行方が分からなくなり、昼過ぎに手術室のトイレで心肺停止状態で発見され、間もなく死亡が確認された。県警の司法解剖の結果、死因は急性循環不全と分かった。
捜査関係者によると、医師の血液からは、当日担当した手術で使った医療用麻薬のフェンタニルとレミフェンタニルが検出された。手術中に一部を持ち出し、腕に注射したとみられる。トイレに落ちていた使用済みの注射器からもレミフェンタニルが検出された。
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医師は昨年4月に非常勤として着任。同年9月から週4日勤務の常勤となり、月約30回の手術にかかわっていた。病院には当時3人の麻酔科医がいた。県警は「麻薬の使用と死因との直接的な因果関係は不明」としながらも、麻薬によってショック症状が引き起こされた可能性は否定できないとしている。
病院の説明によると、医療用麻薬は薬剤部が鍵付きの保管庫で管理。麻酔科医は手術の度、使用量や種類を記した処方せんを薬剤部に提出し、薬剤師から受け取る。麻酔後は緊急時に備え、手術に立ち会うか院内に待機。手術後は麻酔科医が使用量などを記録し、余った麻薬は薬剤師が立ち会いの下で廃棄するか、保管庫に戻していた。
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病院は「管理体制に問題はなかった」としているが、県警は医師が記録を改ざんし、実際の使用量に自分で使った分を水増しして報告していた可能性もあるとみている。
病院や捜査関係者によると、医師は1991年に医師免許を取得後、東京都内の複数の総合病院に麻酔科医として勤務。昨年10月には埼玉県の「麻薬施用者」の免許を受けていた。
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手術中に麻酔科医が死亡するとは、なんとも恐ろしい。二次被害がなかったのは何よりだったろう。
看護師でもそうだが、時々病院から持ち出した薬品が、他殺や自殺に使われる事件が発生している。薬と毒は紙一重といわれるゆえんだろう。こうした事件を抑止する手立てはないのだろうか。おそらく、コロナー制度のある国では、こうした事例でも検死審問が行われるのだろうが、日本ではこの事件のように、刑事的側面でしか情報が利用できていないのは残念である。
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