ADI 発行「これが事実」"FACTSHEET 6"(1998年4月発行)
アルツハイマー病と遺伝−遺伝性疾患としてのアルツハイマー病−
60才未満の早発性のアルツハイマー病は,稀に家族内で発病します.こうした遺伝的なアルツハイマー病は,ハンチントン病のような疾患ととても似た形で生じ,極めて稀なものです.全世界で遺伝性のアルツハイマー病にかかった人はたったの数百家族です.これらの家族では,遺伝子の変化や突然変異がアルツハイマー病を引き起こし,こうした変化が,次の世代に引き継がれます.
どちらかの親から特別な遺伝子を受け取る可能性は50%あるので、遺伝の典型的な型がみられ、そのためどの世代も半分が受けとっていることになります突然変異の遺伝子は、世代間を渡ることはなく、男� �も女性も同様に影響を受けます。
晩発性(60才以降)アルツハイマー病では、事情はかなり違っています。家族歴としてアルツハイマー病がある場合、この病気になる危険度が増すことはよく知られていますが、どの程度かは正確にはわかっていません。多くの遺伝子が晩発性アルツハイマー病の危険を大きくするようであり、一つの遺伝子がこの病気の原因とはなりえないことは間違いありません。
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早発性アルツハイマー病に関係する遺伝子
稀な早発性家族性アルツハイマー病の原因となる3つの遺伝子が知られています。アミロイド前駆体蛋白(APP)の遺伝子は第21染色体に、プレセニリン1(PS−1)の遺伝子は第14染色体に、プレセニリン2(PS−2)の遺伝子は第1染色体にあります。このなかでPS−1の遺伝子は多分最も多いが、どれも特別な型のアルツハイマー病の原因として稀です。ダウン症候群(同じ3つの第21染色体をもつ)の患者は、ほとんど中年期にアルツハイマー病を発症します。多分これはAPPの3つの遺遺伝子をもつためでしょう。早発性家族性のアルツハイマー病の原因となる他の遺伝子がさらに発見され� ��でしょう。
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晩発性アルツハイマー病に関係する遺伝子
一つの伝子が晩発性のアルツハイマー病に関係していることは確かです。第19染色体にあるアポリポ蛋白E(APOE)の遺伝子は、3つの変化した多い型−E2、E3、E4−をもっています。E4型がアルツハイマー病になる危険性を高め、E2型は危険性を抑えるか防ぐようです。しかしながらアルツハイマー病の多くの人は、E4型の遺伝子を持っていません。またE4型の遺伝子を持った多くの人はアルツハイマー病になっていません。それぞれの型の遺伝子はどちらかの親から受け継ぐので、すべての人はAPOEのふたつの型を持っています。二つのAPOE4の型をもつ人が最もアルツハイマー病になる危険性をもっていますが、二つのAPOE� �を持っているすべての人がアルツハイマー病になるわけではありません。
今後、アルツハイマー病になる危険性を高める他の多くの遺伝が見つかるでしょう。しかしこうした遺伝子と関連した危険性が多くても、APOEと比べてずっと低いものです。研究者によって発見されたいるアルツハイマー病の関係した他の遺伝子は、少し変化したPS−1、抗キモトリプシン遺伝子、セロトニン搬送遺伝子、ブチールコリンエステラーゼE遺伝子、いくつかのAPOE受容体遺伝子、第12染色体の一部があります。これらのどれもがアルツハイマー病との関係は明らかになってはいません。
遺伝子検査の臨床的な使用
アルツハイマー病に関係する遺伝子は以下の目的で行われます。
○予測
○診断
○可能性� ��験
○患者介護の支援
早発性アルツハイマー病
アイトラッキング障害の原因
早発性アルツハイマー病は晩発性アルツハイマー病の場合と全く違っています。早発性アルツハイマー病のついて予知のための試験や診断のための試験が3つの遺伝子(AAP、PS−1,PS−2)すべてで出来ます。予測試験は、どの人が遺伝子を受け継いでいるかどうかを明らかにするもので、診断用試験は、既に行われたいる診断を確かめるためのものです。この場合、突然変異を見つけることで診断の補助になり、家族に遺伝相談や家族の遺伝子の試験を受けることも話します。早発性アルツハイマー病にかった家族がいる人は、もっと助言を得るために遺伝センターを訪れるべきです。
晩発性アルツハイマー病
APOE遺伝子の検� ��は、診断の補助にはなりえない。
これはアルツハイマー病の患者でAPOE4型の遺伝子をもっていない人も多いからです。実際、APOE4型は、他の痴呆の危険因子でもあるのです。血管性や他の型の痴呆の人でAPOE4型を持っていることについては明らかにされています。AOPE遺伝子の診断のための検査を勧められることがあるかもしれないが、現在ではほとんどの専門家はこれを勧めてはいません。発症していない人がアルツハイマー病になるかの予測のためのAPOEの検査を受けることは勧めません。
遺伝子検査は、将来アルツハイマー病の薬の治療をする際に誰が最も効果をあげるかを決めるのに、あるいは特別な治療が必要なアルツハイマー病の型を決めるのに役立つようでしょう。これは研究目的� ��ものであり、まお臨床的に使用されるものではありません。
遺伝検査と遺伝相談
遺伝子検査は簡単な血液検査ですが、遺伝相談はこの検査の前と後に行う臨床上の行為です。相談は、患者が正確な情報を得るように用意されており、もし望ましい場合は検査の前にも相談が行われ、患者が検査結果を知るのにいかなる情報にも適切に対応できうように援助するものです。
ハンチントン病の相談は国際的に認めらた方法で行われています。相談の後、いつかの患者は、検査を拒むことができます。以前の研究によると、ハンチントン病の危険因子のある人の多くは、質問した際には検査を受けるつもりでいたことが分かっています。しかし実際は、検査の前になると決断する人はかなり少なくなりました。
早発性アルツハイマー病について、検査に伴う遺伝相談 はハンチントン病の場合に認められた基準に従うべきです。晩発性アルツハイマー病については、遺伝検査は現在のところ勧められていませんが、親族が正しい情報−発病する危険があるかもしれないということ−を得るべきであり、遺伝検査は可能性をみるものであって重大には捉えなくともよいと理解するべきです。晩発性アルツハイマー病の遺伝検査がもし勧められとすれば、相談の方法について充分に配慮される必要があります。
アルツハイマー病の遺伝の情報
アルツハイマー病の遺伝についての一般的な情報は、各国のアルツハイマー病協会から得ることができます(訳注参照)。自分自身の家族に関するより多くの情報を望む人やアルツハイマー病が遺伝するかもしれないと関心のある人は、遺伝センター(訳注参照)を訪れるべきです。これには医師を通さなければならないこともあります。いくつかの団体−例えば、国際アルツハイマー病協会(アルツハイマー病の予知的検査についての合意文書は事務局から入手できます)、アメリカの国立老化研究所−で合意された基準を作成しています。いくつかの情報は、インターネットを通じて得ることができます。但し、その情報が信頼できるところからのものあるか確かめように注意しましょう� ��
アルツハイマー病についててのインターネット上のいくつかの信頼できる情報源は以下のとおりです。
genetics of AD)
's Web)
's Disease Review)
訳注:(社)家族の会は、アルツハイマー病の遺伝に関する情報は十分持ってはいません。また日本では、アルツハイマー病の遺伝検査や相談を行う「遺伝センター」のようなところはなく、病院や研究所が個別的に対応しているのが現状です。(訳者:三宅貴夫)
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